7周年を迎えて

2022年9月29日、みずうみのほとりは7周年となりました。

はじめてCreemaに作品を出品し、ハンドメイドを自分の内側にある趣味の世界から外側の世界へと連れだしたのが7年前の今日だったのです。

幼少期から好きだったハンドメイドの世界ですが、作家として歩みだしたきっかけと、その後作家を続ける中で感じたことをお話ししようと思います。


作家を目指したきっかけ


作家を意識し始めた当時の私はまだ大学生。

大学では美学芸術学科、通称「美芸」で学んでいました。

美芸は基本的には座学ばかりで、美大や造形大のような実技があるわけではありません。

しかし、美芸に来る子は「自分の好き」が明確にあるような、わかりやすく言えば「オタク気質」の子がとても多く、絵画サークルに入っている子や軽音サークルに入っている子など、様々な形で自分を表現している子にあふれていました。


そのなかに、私が作家活動を始めようと思ったきっかけになる友人がいました。

彼女はアクリルでイラストを描いている子で、その優しい目線とあたたかみのある不思議な世界観が私は大好きでした。

2回生のある秋、彼女がとあるイベントへ出展をすると知り会場へと足を運んだあの日の事は忘れられません。

ブースに近づき机の上を見た瞬間、なぜだかとても強い衝撃のようなものを感じたのです。

それまでもある作家さんのファンだったためハンドメイドの大きなイベントに足を運ぶことはありましたが、そこに自分の友人が出ているというのはとても不思議な感覚で、世界の見え方がぐわっと変わったような気がしました。

ひとことで言えば、「まぶしかった」、それに尽きます。

その時に、「ああいいなぁ。そういうこと、自分もやってみたいなぁ。」とふわっと思いました。


ちょうどそのころ、私はビーズ刺繍を始めたばかりでした。

自分が作った作品を大学につけて行くと、サークルの先輩が「それキレイ!」「え~作ったの!?すごい!!」「売れるよ~」と話しかけてくれるということが続き、作品をきっかけに話が広がる経験を何度もしました。

当時の私は人見知りが激しく会話を広げるのが苦手だったため(あ、今でもか)、これがあれば世界と繋がれるんだという、一種の武器や鎧のような感覚で作品を身につけるようになっていたのです。


最初はあくまでも自分用だったビーズ刺繍の作品たち。

それを「売ってみてもいいのかも」と思えたのは、前述の友人の出展を目の当たりにしたからでした。

その日以来「ハンドメイドを発信していく」とひそかに心に決め、少しずつ準備を整え、その1年後の2015年9月29日にCreema初出品が叶ったのです。

ちなみになぜ9月29日かというと、「大学の講義が始まる前に形にしたい(9月30日まで夏休み)」と「どうせならこの日に作家を始めたって覚えやすい日がいい(父の誕生日がこの日)」が重なったからです。

その時はもうばったばたのどっきどきでしたが、出品してすぐに何かが変わるわけでもなく、その後は緩やかに作家活動を続けて今へと至っています。


続ける中で感じたこと


7年の時を経て、どうなったか。

正直最初の方はつらい思いばかりでした。

出展のたびに落ち込み帰り道に会場の外で泣きながら母に話を聞いてもらう、そんな繰り返しでした。

当時の私は価格のつけ方も告知の仕方もブースの見せ方もお客様への対応も、すべてがわからないことだらけだったのです。

でも、何度もイベントに出て、イベントごとの客層や雰囲気を知り、いろいろ試行錯誤するうちに、少しずつ「自分に合ったやり方」が見えてきました。


何事も最初は素敵だなぁと思った方のやり方をまねするところから始まりますが、それだけではだめなのです。

自分に合ったやり方は、自分が色々やってみて、これは失敗だったなぁと思った部分を再構築していく中でしか見つけられません。

もちろんまだまだ手探りなことだらけです。

新しい世界に飛び込むたびに、胸がどきどきばくばくして全身が粟立つようなあの緊張感を味わうことでしょう。

でも、私には自分のしてきた様々な失敗が糧となって積み重なっています。

今ではようやく自分で自分のことを「成長している」と認めることができるようになったので、この経験をもとにいろいろ挑戦していけたらと思います。


作家をしていくうえで大事にしたいこと


自分に合ったやり方を見つける中で、作家をしていくうえで大事にしたいこともかたまってきました。

それは、「自分の好きをとことん追求すること」「自分が誰よりも自分の作品のファンでいること」です。


もちろん、その先にいるお客様のことは常に考えています。

手に取って下さった方に喜んでいただきたい、私の作品によって日々の生活に彩りが添えられたら、その思いは大前提です。

そのうえで、手に取りたいと思ってもらうためには作品自身の魅力が必要であること、その魅力は結局わたし自身のあり方から生まれるものだということに思い至ったのです。


ビーズ刺繍はとても時間がかかります。

自分自身が元気でないと、向き合っていてもどこかに嘘が生じてしまいます。

はじめは作家としての自分を確立するにあたり、制作にまつわること以外の余分な情報を排除して、「みずうみのほとり」と「素の私」を切り分けようとしてきました。

しかしずっと取り繕った「良い面」だけを見せ続けるのは限界があると徐々に気づき始めました。

楽しく制作を続けるためにも、元気であるためにも、好きなものを追求したり弱い部分をさらけ出したりして素の私に近い状態で作家活動をしていくのはとても大事なことだとわかってきたのです。


私はフィギュアスケートとミュージカルと宝塚とヴィンテージのお洋服とアクセサリーが大好きなんですけど(多い)、そのすべてがちゃんと「みずうみのほとり」に繋がっていると思います。


例えばフィギュアスケート好きが高じてスケーターに自作のお人形を贈るようになり、レオタード素材の特殊生地を扱うのに慣れ、衣装や髪形を再現する腕が磨かれました。

ミュージカルや宝塚の登場人物のお人形を作るようになり、より多様な生地の扱いと複雑な髪形の再現がうまくなりました。

それによって、写真を見て受注でお作りするお人形についても自信を持ってお勧めできるようになったのです。


また、ヴィンテージのアクセサリーショップの店主さんの接客を見て、自分もお客様にこう話しかければいいんだと学ぶことができました。

その方は控えめで優しげな方なのですが、1点1点手に取るたびに年代や生産国や特徴などをするすると教えて下さるのです。

買う側としては、詳しく伝えてもらえるのは嬉しいことですし、なにより店主さんの愛が伝わってきてよりひとつひとつのアクセサリーが愛おしく思えてきます。

だから私も、お客様が作品を手に取って下さったときに1点1点のこだわりについてしっかり語ればよいのだと気づきました。

もともとヴィンテージのビーズやチェコガラスビーズ等材料にはこだわっていますし、手間をかけて制作しているので、語れることはたくさんあるのです。

とはいってもこれについては取り組み始めたばかりなので、今後も続けていきたいなぁと思っています。


阪急への出展が決まったのも、そのきっかけはお洋服からでした。

ビーズの資材が売っているイベントに客としてお買い物に行ったところ、とあるお店の方に「素敵なお洋服ね」と話しかけて頂き、「ヴィンテージの70年代のお洋服なんです」と答えたところから話が広がり、ついには阪急への出展へと結びついたのです。


こうしてみると、好きなものを身につけ、好きなところに行き、常に自分が楽しく過ごすことで、結果として新たなつながりが生まれたり学びを貰えたりするのだということがよくわかります。

そうして得たものを生かして制作することで、結果として「私らしい」より良い作品へと繋がるのだと思います。

最近では、自分の好きなものをどんどん押し出していったら、それが良い、面白いと言って下さる方も増えてきました。

これからも偽らずありのままの私で楽しく日々を過ごし制作に還元していければと思います。


支えて下さった皆様へ


この7年間は決して一人では乗り越えられませんでした。

改めまして、みずうみのほとりにかかわって下さったすべての皆様に感謝申し上げます。


まずは何よりいつもSNSを見て下さり出展の際には会いに来て下さる皆さま。

作ったものに何かしらの反応を頂けることが本当に日々のモチベーションとなっております。

皆様の存在がなければ、作家を続けてこられなかったと思います。

いつもあたたかく見守って下さりありがとうございます。


そして私と関わってくれる作家の皆様。

SNSで皆様の作品を見ると、よし自分も頑張ろうと思えますし、出展の際にはいろいろと情報交換したり学ばせていただいたりとお世話になりまくっております。

これからもみずうみのほとりと仲良くしていただけますと幸いです。


さらに私の大切な友人たち。

ちょくちょくSNSを見てくれて応援してくれるのを感じるし、出展の時に会いに来てくれるのも嬉しいし、会えた時にやっていることは全然違えどたわいもない話で盛り上がれるのも嬉しいです。

いつもありがとね~だいすきだよ~~


そして最後に、大切な大切な家族のみんな。

いつもいつも、心の底から私の道を応援し、困ったときは寄り添い、元気のないときは励まし、良いものができたら真っ先に褒めてくれて、ほんとうにありがとう。

人と話すことで見つかる発見や深まるアイディアがあります。

そばでずっと見てきたからこそわかる成長を客観的な目線で教えてもらえるのも助かります。

制作自体は1人でしかできないけど、ハンドメイド作家は1人でできるものではありません。

家族の支え無くしてはこの道のりを歩み続けることは不可能でした。

ほんとうに、ほんとうにありがとう。


私は制作するのが大好きで、それこそおばあちゃんになっても何かしら作り続けているとは思うけど、今の形がいつまで続けられるかはわかりません。

けれどまだまだ「みずうみのほとり」としての歩みを続けていきたいと思っています。

8年目のみずうみのほとりもどうぞよろしくお願いいたします。


ここまでお読み下さりありがとうございました!

みずうみのほとり

ビーズ刺繍アクセサリー・布製のお人形・ほんわかテイストのイラストをひとつひとつ心を込めて制作しています。

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